リフティングマグネットの安全係数について
リフティングマグネットでは、最大吊り下げ重量とは別に「安全係数」と呼ばれるものが、説明書などに記載されている事があります。「安全率」とも呼ばれる安全係数は、簡単に言うと、「最大吊り下げ重量の何倍まで耐えられるか」という数字です。
最大吊り下げ重量が100kgで、実際にリフティングマグネットが吊り下げられる重量が100kgだとすると、「100÷100=1」で安全率は「1」になります。
しかし、最大吊り下げ重量が実際に耐えられる重量と同じであれば、誤って110kgを吊り下げた場合すぐに故障してしまいます。
ですので、実際に吊り下げられる重量が300kgですが、最大吊り下げ重量が100kgに設定して、故障をしないよう安全に使用できるようにしています。
この場合だと3倍まで耐えられるので、安全率は3になります。
安全率は大きければ大きいほど頑丈と言う事なので、高い方が良いに決まっています。
しかし、安全係数が高くなりすぎると、当然のことながらコストが高くなってしまいます。
そのため、ほとんどのリフティングマグネットではコストとのバランスを考え設定されています。
安全率が2.5~4までの間に設定されているリフティングマグネットがコストと安全性のバランスが取れていてオススメです。
ただし、安全係数はあくまでも安全に使用できるためのものです。
確かに100kgまでのリフティングマグネットで安全係数が3の商品は、300kgまで使用が可能です。
しかし、始めから300kgで使用することを考えると危険です。
安全係数は、あくまでも「安全性を考慮した余裕分」ですから・・・100kgのリフティングマグネットに関しては100kg程度の鋼材を吊り上げる目的でご利用されることをお願い申し上げます。
なお、オークションや大手ショッピングサイトなどで、「最大重量100kg、安全係数3」のモデルを、「300kgのリフティングマグネット」として販売している業者さんを見かけますが、これは違法行為です。
法令(クレーン等安全規則)と安全係数の関係
リフティングマグネット本体の安全係数を直接定めた法令の条文はありません(2026年8月時点)。しかし、玉掛けに使用する用具には「クレーン等安全規則」で安全係数の下限が定められています。
・玉掛け用ワイヤロープ …… 安全係数6以上(第213条)
・玉掛け用つりチェーン …… 安全係数4以上(所定の要件を満たすもの。それ以外は5以上)(第213条の2)
・フック・シャックル …… 安全係数5以上(第214条)
リフティングマグネットで吊り上げ作業を行う場合でも、マグネットと組み合わせて使うワイヤロープやシャックルにはこれらの規定がそのまま適用されます。マグネット本体の安全係数だけでなく、「吊り具全体」で安全率を確保することが大切です。
また、つり上げ荷重1トン以上のクレーン等で玉掛け作業を行うには「玉掛け技能講習」の修了が、1トン未満でも特別教育の受講が必要です。作業者の資格もあわせてご確認ください。
安全係数が「目減り」する場面に注意
カタログ上の安全係数は、十分な厚みのある平らな鋼材を吸着した場合の数値です。実際の現場では、次のような条件で吸着力が下がり、安全係数の余裕が実質的に目減りします。
・鋼材が薄い場合(磁力が鋼材を通り抜けてしまう)
・表面に錆・塗装・切粉などの異物がある場合(接触面にすき間ができる)
・吊り上げる鋼材の材質が磁力を通しにくい場合
たとえば最大吊り下げ重量200kg・安全係数3のモデルであっても、薄い鋼板では吸着力そのものが大きく低下するため、「余裕が3倍あるから大丈夫」という考え方は危険です。安全係数はあくまでも不意の条件悪化に備えた保険と考え、必ず定格(最大吊り下げ重量)の範囲内で、条件が悪い場合はさらに余裕を持ってご使用ください。
詳しくは下の「一緒に読んでいただくと、参考になる記事」の各ページもあわせてご覧ください。
吊りたい重量から機種を選ぶ
当店で取り扱っているリフティングマグネット(PMLシリーズ)の定格(最大吊り下げ重量)は以下の通りです。普段吊る鋼材の重量に対して余裕のある定格の機種をお選びください。定格ギリギリではなく、1ランク上の機種を選ぶのが安全です。
・PML-1(100kg)/PML-2(200kg)/PML-3(300kg)
・PML-4(400kg)/PML-6(600kg)/PML-10(1000kg)
・PML-20(2000kg)/PML-30(3000kg)
機種選びに迷われた場合は、吊り上げる鋼材の種類・厚み・重量をお知らせいただければ、最適な機種をご提案いたします。お気軽にお問い合わせください。
安全係数についてよくある質問
Q1.安全係数3なら、定格の3倍まで吊り上げてもいいのでしょうか?
A.いけません。安全係数は「不意の条件悪化に耐えるための余裕」であり、使用してよい上限は定格(最大吊り下げ重量)までです。定格を超えた使用は落下事故につながる危険な行為です。
Q2.安全係数は高いほど良いのでしょうか?
A.安全性の面では余裕が大きいほど安心ですが、その分本体が大型化しコストも上がります。一般的には安全係数2.5~4程度に設定されたモデルが、コストと安全性のバランスが取れています。
Q3.長年使った中古品でも、安全係数は新品と同じですか?
A.同じとは限りません。吸着面の傷や変形、磁力の経年変化により、実際の吸着力が新品時より低下している場合があります。定期的な点検を行い、不安がある場合は買い替えをご検討ください。
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